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Column|アルゼンチンの黒い瞳──Ojos Negros vol.2

SPIRAL RECORDSからリリースした«ANTIGUO REZO»«TIERRA SIN MAL»でも知られる、アルゼンチンのシンガー シルビア・イリオンド。その長いキャリアのうちでも、現在のスタイルを強固なものとした重要な作品と位置づけられる«Ojos Negros»のリイシューを記念して、収録曲について解説していただきました。(2020年4月18日配信メルマガ再掲/全2回)

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01. POR UNA PEQUENA CHISPA/小さな火花によって
レダ・バジャダレスが収集した大変古い作者不詳の作品です。
「気がつかないうちに、小さな火花が火事となり、私自身も、私の魂も壊れてしまった」この作品は完成度が高く、とても美しい詩で作者不詳の作品の奥深い世界観を体現しているといえるでしょう。

02. YA ME VOY YENDO/私はもう去る
眠れぬほどの愛について歌ったクエカ。アルゼンチンタンゴ界で多くの名作を残した作曲家エラディア・ブラスケスの作品です。本作は、彼女の作風の中でも変わった立ち位置にあり、フォルクローレの要素が織り込まれています。

03. NOSTALGIAS SANTIAGUEÑAS/郷愁
ロス・エルマーノス・アバロス作曲の伝統的なサンバ。伝統的なフォルクローレの作品。生まれ育った故郷への哀愁や苦境について、深く美しい詩で語られています。

04. FLOR MORADITA/紫色の小さな花
レダ・バジャダレスが収集したワイノ。アルゼンチン北西部のこどもの歌に分類され、その地域の言語であるケチュア語が用いられています。マリンバが作品の深遠さと無垢さを表現しています。

05. LA GUAMPADA/ラ・グアンパーダ
リトラル地方で発達したチャマメの作品です。タイトルの語源は「グアンパ」という牛や鹿、木で作られたコップのことでマテやお酒を飲む容器として使われていたものです。田舎の飲み屋では飲む時にマイコップを腰につけて持参して飲んでいたのでその様子を現しています。

06. NACUNANA/子守唄
ホセ・モントージャによるアルゼンチン北西部の陽気で軽快なリズムとダンスが楽しいクエカ。

07. MUJER DE LA ISLA/島の娘
チャチョ・ムレールによるリトラル地方の作品。島に暮らす女性の孤独、苦悩に満ちた人生について歌っています。

08. YO NO TENGO PADRE Y MADRE/私(僕)にはお父さんとお母さんがいない
レダ・バジャダレスが収集した作者不詳のワイノ。無邪気でお祭りのような空気感をパーカッションが奏でる余白によって作り上げることができ、こどものためのこの作品がもつ本来の良さをうまく引き出せたのではないかと思っています。

09. AL RANCHO VOLVI/牧場からの戻り
音楽学者であり収集家のカルロス・ベガによって発見された作者不詳のビダラ。美しい国の風景と
情景について歌った作品。

10. DE TINAJAS/無駄だった
クージョ地方のトナーダ。アルゼンチンを代表するピアニストであり作曲家のイルダ・エレーラ作。

11. COPLAS SIN LUNA/月のない歌
優れた作曲家、歌手、ギタリストのラウル・カルノータが作ったアルゼンチン北西部のチャカレラ。

12. MI PUEBLO CHICO/私のちいさな村
「私の町が小さくてどんなに幸運か、人々は存在することすら知らず、丘に隠れ、遠くでひっそりと──」
アルゼンチン国内の壮大な風景の中に隠された多くの小さな村について語った美しいサンバ。 独自の文化、習慣、伝統と深い精神世界を持ちながらも、忘れられた未知の人々について述べられています。 この詩は、私の祖父母がバスク地方(イベリア半島)から来た町を想起させます。「Yanci」という名のその町は、バスク語で「忘れられた町」を意味します。

13. REMOLINOS/つむじ風
軽快なクエカ。激しい渦巻きの中での風について歌っています。

14. TORO YAYUKA/ジャジュカの雄牛
チリグアナ語で歌われた先住民の作者不詳のアカペラの作品。 この曲の深淵な世界を表現するにはコントラバスが適していると判断しました。 この歌は先住民の伝統につい語られています。 山に入る前に、男たちは集い、この歌を歌い、その中で「狩人」と「虎」の2人が選ばれます。 [1]この歌は、選ばれた狩人の成功を祈願したものとなっています。

15. MORENA VOZ DE RIO/川のようなモレーナの声
リトラル地方の歌。人生の伴侶を失った苦しみに耐える、親愛なる友人に書いた作品です。

16. SERENATA DEL 900/900のセレナータ
アルゼンチンの偉大な作曲家であるピアニストのクチ・レギサモン作。ムビラを用いることでハバナの空気感を作りだすと同時に繊細な世界観を見事に作り上げています。

17. CHACARERA DEL RIO DULCE/甘い川のチャカレラ
ロス・エルマーノス・アバロス作曲のチャカレラ。美しき川の流れによって見事に彩られた山々や町の情景を歌った作品。

18. YO TAMBIEN ME IRE/私もいずれ行く
レダ・バジャダレスによって収集されたバイレシート。深く、繊細な愛とロマンスについて歌った作品。

19. YA ME VOY/私は去る
別れの歌であり、人生の軌跡について歌った作品。コパがこの作品の雰囲気を表現するために用いられています。

[1]
チリグアナというコミュニティ内で実際に行われている、一方を人間、もう一方を虎に見立てた2人の男性が戦う農作物の儀式。

インタビュー・編集:SPIRAL RECORDS
翻訳:坂本悠

アルゼンチンの黒い瞳──Ojos Negros vol.1(2020/04/12配信)
アルゼンチンの黒い瞳──Ojos Negros vol.2(2020/04/18配信)